絵を描くとき、「この色があとちょっと欲しいのに手元にない…」という経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか。とくに「朱色」のような、赤ともオレンジとも言い切れない中間色は、市販の絵の具セットには入っていないことも多く、必要になってから「どうやって作ればいいの?」と悩むことがあります。
この記事では、絵の具で朱色を作る方法に特化して、さまざまなアプローチを解説していきます。使用する色の組み合わせや混色の割合、そして微調整のポイントなど、実践的な内容を盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてください。
朱色とはどんな色?
朱色(しゅいろ)は、赤に少し黄色が混ざったような、鮮やかでやや明るい赤系の色です。オレンジよりは赤に寄っていて、赤よりはやや明るく黄味がかっているという絶妙な位置にある色です。
そのため、赤やオレンジだけでは再現しきれず、混色によって作る必要があります。絵の具で朱色を再現する際には、「赤み」と「黄み」のバランスが重要になってきます。
朱色を作る基本の考え方
朱色を作るときの基本は、「赤をベースにして、そこに少量の黄色を加える」ことです。ベースとなる赤の種類、加える黄色の種類、そしてその混ぜる比率によって、朱色に近づけることができます。
朱色は「赤:黄色=5:1」や「4:1」など、赤が明確に多い比率で調整していくのがポイントです。
一番手軽な組み合わせ:赤+黄色
最もベーシックで、朱色に近い色を作る方法は、「赤」と「黄色」を混ぜることです。ここで使う赤は、いわゆる「バーミリオン」や「スカーレット」などの明るめの赤が向いています。深みのある赤(クリムソンレッドなど)でも作れますが、少し重たい印象の朱色になることがあります。
黄色は「レモンイエロー」や「ミディアムイエロー」など、クセの少ない明るい黄色を選ぶときれいに発色します。
赤をパレットに取り、そこにほんの少しずつ黄色を足していくと、赤が徐々に明るく、オレンジがかった色味になっていきます。その中間くらいの、赤味をしっかり残しつつも、わずかに黄味を感じるあたりが朱色の目安です。
重要なのは、黄色を「少しずつ」加えることです。一度に入れすぎると、あっという間にオレンジ寄りになってしまうので、慎重に調整しましょう。
深みのある朱色を作る:赤+黄色+白
朱色は基本的に明るい色ですが、ときには少し柔らかくしたい、あるいは紙の上で鮮やかに発色させたいというときがあります。そんなときは、「赤+黄色」で朱色を作ったあとに、ほんの少しだけ「白」を混ぜてみましょう。
白を加えると、色の明度が上がり、より穏やかでソフトな印象の朱色になります。特に水彩画やアクリル画で、光の当たる部分や背景に柔らかさを出したいときに使いやすくなります。
ただし、白を加えすぎると朱色というより「サーモンピンク」や「肌色」に近くなるため、こちらも少量ずつ混ぜるのがポイントです。
落ち着いた朱色を作りたい場合:赤+黄色+ほんの少しの青
もし「朱色だけど少し落ち着きのある色」にしたい場合、赤と黄色を混ぜたあとに、ほんのわずかだけ「青」を加えてみてください。これは補色の性質を利用した方法で、青を加えることで彩度が少し下がり、ややくすんだ、渋みのある朱色になります。
このときの青は、「ウルトラマリン」や「セルリアンブルー」など、赤みのある青が相性が良いです。彩度を落としすぎないよう、ほんの少しずつ混ぜて調整することが大切です。指先にちょっとつけてパレットに落とすくらいの感覚でOKです。
この方法は、人物画や風景画などでリアルな質感を出したいときに特に役立ちます。
オレンジから朱色を作る方法
手元に「オレンジ」がある場合は、それをベースにして朱色を作ることも可能です。方法としては、オレンジに「赤」を加えて調整していきます。赤を多めに入れることで、オレンジから朱色へと寄せることができます。
このとき注意すべきは、オレンジのもともとの明度や鮮やかさです。すでに彩度が高いオレンジの場合は、赤を加えても朱色になりにくいことがあります。その場合は、赤だけでなく、ほんの少しだけ青や白を加えて彩度や明度をコントロールすると、より自然な朱色に近づけることができます。
顔料としての朱色絵の具がないときの代用
市販の絵の具には、「朱色」という名前の絵の具が売られていることもありますが、絵の具セットによっては入っていないことも多いです。そういった場合、既存の色を混ぜて再現するしかありませんが、もし似たような色が手元にあればそれをベースにして調整する方法もあります。
たとえば、「スカーレット」「ライトレッド」「パーシモン(柿色)」などがあれば、それらを基準にして黄や白、青を少量加えて調整していくと、効率的に朱色を作ることができます。
水彩・アクリル・油彩で違いはある?
朱色の作り方の基本は絵の具の種類に関係なく共通していますが、水彩・アクリル・油彩では少しずつ取り扱い方が異なります。
水彩の場合、水で薄めると色が透けて見えるため、紙の色や重ね塗りによって朱色の印象が変わりやすいです。最初はやや濃いめに作ってから、水で調整して塗るのがおすすめです。
アクリル絵の具は乾くとやや暗くなる傾向があるため、混色時には若干明るめに朱色を作ると、乾いたあとにちょうどよくなります。
油絵具では、色のツヤや厚みがある分、朱色の鮮やかさがしっかり表現できますが、乾燥に時間がかかるため、混色時にしっかり混ぜておくことがポイントです。
思い通りの朱色を作るコツ
朱色のような中間色は、感覚的に「これだ!」と感じられるバランスを見つけるのが難しいものです。最初から完璧な朱色を目指すのではなく、「少しずつ近づける」つもりで段階的に調整していくのが成功のコツです。
混ぜる前に、まず使う赤と黄色を紙に試し塗りしてみると、その絵の具の発色や濃さが把握しやすくなります。そして混ぜた色もこまめに試し塗りして、イメージに近いかどうかをチェックしながら進めるようにしましょう。
また、同じ色を再現するのは意外と難しいため、気に入った朱色ができたら、混色の比率や使った絵の具の名前をメモしておくのがおすすめです。
おわりに
朱色は「赤と黄色をベースにした混色」で作ることができ、そこに白や青を加えることで微調整が可能です。使う赤や黄色の種類、混ぜる比率、そして最終的な用途に合わせて調整することで、自分のイメージに合った朱色を作ることができます。
「絵の具で朱色の作り方」を探していた方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。市販の絵の具に頼るだけでなく、自分で混ぜて作ることで、より自由な表現が広がります。ぜひ、あなたの作品づくりに活かしてみてください。